Tanren塾塾長 鈴木亮司です。
毎度のことながら小林寛道先生の書いた文章に誰が聞いても納得できるところがあります。
「ランニングパフォーマンスを高めるスポーツ動作の創造」から抜粋です。
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パワーマックス(固定式自転車)の躯体が固定されているために、自転車の躯体が動かない状態でのパワー発揮が求められています。
これは測定機として安定的な値は出るが、躯体が固定された条件でのパワー発揮と、躯体が自由に動く自転車ではバランスのとり方が異なるので、実際の自転車競技では、あまり役立たない。風の抵抗もない。
柔道の選手が、柔道着を着た重たい人形を相手に強い力で投げたおすパワー発揮訓練をしても試合で勝つとは限らない。力を加える相手は生き物なので、ジッと動かないような相手に一方的な独り相撲していても本当の強さは出てきません、ということです。
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これは本当に良く思います。体力測定をして優秀な結果なのに実際の競技力に結びつかない人が多いわけです。
僕は格闘技やっていたので格闘技を例に出しますがサンドバッグやミットを叩いているスタミナやパンチ力は必ずしも試合で発揮されるとは限りません。
サンドバッグやミットを何ラウンドも叩けても試合では1分でバテてしまうことがあります。相手は動くし不規則な動きもあるし、防御もしなくてはならないです。
現役時代の最後についてもらったジムのトレーナーの人には
「サンドバッグやるのは3ラウンドまでにしなさい。
変な癖がつくから」
と言われました。
サンドバッグで慣らしてしまった人の撃ち方は押し込んで撃ってしまう癖だったり、意識してても撃ち返してこないものですからどうしても防御が甘くなるし、人を撃つのとは違うから、という理由でした。
プロボクサー荒谷選手も
「ずっとサンドバッグやミットをやってきたけど実戦の感覚が掴めない」
と1番最初にトレーニングを始めた時に言っていました。
対人で型を決めて動く練習方法をやるようになってから一ヶ月で距離感や防御の感覚が全然変わった、と成果が出ているようです。
「ランニングでスタミナをつけようと走っているけど実際のスポーツのスタミナがついたような気がしない」
こんなことを言われることがあります。これはランニングの体の使い方が効率が良くなったのです。
いわゆる【ランニングエコノミー】が起きたのです。体力の土台としては大切ですが、ある一定以上から上は単純な体力トレーニングでは限界がある、ということが言えます。
サッカーなら【サッカーエコノミー】
ボクシングなら【ボクシングエコノミー】
にならなければなりません。
「100%をつくるには100%の練習が必要である。」
ということは実に芯をついていると思います。